2016/06/21 更新
夏タイヤの溝がない!スタッドレスタイヤを夏場に履いても大丈夫?
春先にスタッドレスタイヤを履き替えようと思ったら夏タイヤの溝がない!車を車検に出したら夏タイヤの溝がない!でも新しいタイヤを買うのはちょっと・・・あっスタッドレスタイヤがあるけど、とりあえずスタッドレスタイヤでも大丈夫なのかな?今回はそんな疑問を解消します。
スタッドレスタイヤは積雪や凍結する地方で冬に必要になるタイヤなので冬タイヤとも呼ばれています。
もともとは昔スタッド(鋲・ピン)を打ちこんである冬用タイヤが環境に悪く(粉塵の害)使用が禁止されてしまい、それに代わるタイヤとして鋲のない(スタッドレス)なタイヤなのでこのような名称で呼ばれています。
スタッドレスタイヤと夏タイヤって何が違うんだろう?
まずはスタッドレスタイヤと夏タイヤの基本的な違いから説明します。
使用用途
当然と言えば当然なのですがスタッドレスタイヤと夏タイヤでは使用用途が違います。
夏タイヤは雨でぬれた路面や乾いた路面での走行性能を主としているのに対し、スタッドレスタイヤは積雪時や凍結した路面で安心・安全に走行できる性能を主としています。
溝の形
スタッドレスタイヤと夏タイヤ、ぱっと見で溝の形(パターン)が大きく違うのがわかるかと思います。
これがそれぞれのタイヤの性能の大きな違いになります。
左が夏タイヤ,右がスタッドレスタイヤ
夏タイヤは大きな溝があるだけなのに対してスタッドレスタイヤは大きなブロックの中にも細かいギザギザの溝があります。
ゴムの硬さ
冬場の極低温でもゴムの柔らかさを保つことが出来ます。
スタッドレスタイヤの性能を発揮するため夏タイヤに比べてスタッドレスタイヤはゴムが柔らかくなければいけません。
この柔らかさを常に保つためにスタッドレスタイヤ各社は色々な技術を開発しています。
細かい違いはそのほかにも多々あるのですが、以上が夏タイヤとスタッドレスタイヤの大きな違いになるかと思います。
夏場でもスタッドレスタイヤで走行することは可能ですが
結論からするとあまりお勧めはできません。
なぜスタッドレスタイヤを夏場に履かない方が良いのか、いくつか理由を挙げてみます。
ブレーキの効きが悪くなる
夏場は路面の温度が冬場よりも上がるので夏場のスタッドレスタイヤは柔らかくなりすぎてしまいます。
制動時に細かい溝が変形しやすく路面に喰いつきずらいので、夏タイヤに比べて制動距離が伸びやすくなります。
条件によっても違うかと思いますが夏タイヤと比べスタッドレスは制動距離が約1.5倍というデーターもあります。
濡れた路面で滑りやすい
濡れた路面で排水性(水を掻き出す性能)が悪いと水の膜によりタイヤが路面から浮いてしまいます。
俗にいうハイドロプレーニング現象ですね。
スタッドレスタイヤは細かい溝が多いので排水性が高いように思われますが、実はそれほどでもありません。
先程の理由と同じようにタイヤの溝が変形してしまいやすいので逆に排水性は夏タイヤよりも悪く滑りやすいのです。
制動距離も伸びますし、カーブ等でスリップしてしまう可能性もあります。
雨の高速道路や大雨の時は夏タイヤに比べ特に滑りやすくなるので注意が必要です。
燃費が悪い
これもスタッドレスタイヤのゴムの柔らかさや溝の形状が燃費に影響するのでよくありません。
通常約10%程度スタッドレスタイヤの方が夏タイヤに比べ劣るとされています。
夏タイヤ並みの燃費のスタッドレスタイヤも出てきましたが、ほとんどのスタッドレスタイヤはまだまだかないません。
タイヤを履き替えるのをためらって余計に燃料代を払うのも不経済ですが、夏タイヤよりもスタッドレスタイヤの方がタイヤの金額も高いのでそのような意味でも不経済ですね。
そのほかにもハンドリング(操舵性)の悪さや走行音(ロードノイズ)が大きいなど、おすすめできない理由ならまだまだ挙げればいくつもあります。
やはり以上のような理由からすると夏場にスタッドレスタイヤを履くのをおすすめしないのがわかるかと思います。燃費が悪いくらいであれば少し我慢すれば良いことですが、止まらない曲がらないなどの車を安全に走らせるうえで重要なところが満たせないのは心配です。
もしもの時に後悔しないためにも夏場はスタッドレスタイヤから夏タイヤへの早めの履き替えをおすすめします。