2016/04/13 更新
パトカーには緊急走行が許されている!?緊急自動車とは?徹底調査!
皆さんは、パトカーや救急車がサイレンを鳴らして緊急走行している場面をご覧になられたことがあると思います。パトカーや救急車など、さまざまな事件に対応する車両には緊急走行ができるんですね。今回は緊急走行できる自動車についてまとめました。
パトカーなど緊急自動車の種類は、道路交通法施行令13条で規定されている
緊急走行が許される、「パトカー」
皆さんは、パトカーや救急車がサイレンと赤色灯を回転させ、速度や信号を無視して走行している光景をご覧になられたことがあると思います。これらのクルマは「緊急自動車」と呼ばれます。
緊急車両として指定されている「消防車」
では、法律で「緊急走行」が許される車両は定められているのでしょうか?
緊急車両は、自動車の使用者が申請し、「公安委員会」が指定する
緊急車両は、自動車の使用者が申請し、公安委員会が認可した車両に限られます。写真の救急車は「緊急車両」と認められています。
JAFのレッカー車も緊急自動車と認められている
簡単に申しますと、「緊急自動車」とは、「公益性」があり、かつ緊急を要する要件のために運転する自動車の事になります。
NEXCOのパトロールカーも「緊急自動車」
これら、「緊急自動車」として認可された車両は、緊急時に限り「緊急走行」を行うことが認められています。次の章では「緊急走行」についてご説明します。
通行区分の特例
パトカーなどの緊急自動車は、止むを得ず、追い越しを行う必要があるときは、道路の右側へはみ出して通行できます。
また、パトカーなど緊急自動車は道路交通法で「停止」が義務付けられている地点でも停止せずに通行できます。場合によっては「逆走」も可能です。
シートベルト着用義務も免除される
緊急走行時は、シートベルト着用義務も免除されます。信号の遵守も免除されますが、付近の交通に十分注意する義務は課せられています。
一般の自動車は緊急自動車の通行を妨げてはいけない!
道路交通法40条に、一般の自動車は緊急車両の通行を妨げてはいけないと規定されています。交差点内では、交差点を避けて、左側へ寄り、一時停止します。それ以外では左側へ寄って道を譲ります(停止しなくても良い)。
緊急自動車にはさまざまな「特例」がある
緊急自動車は、緊急走行時、道路交通法遵守が免除されるさまざまな特例があります。以下に、その一部をご説明します。
・通行禁止区分が免除されます。
・路線バス優先通行帯でも走行できます。
・横断禁止、Uターン禁止、右折禁止などが免除されます。
・追い越し禁止が免除されます。
・駐車禁止が免除されます。
パトカーがサイレンを鳴らしていなくとも、緊急走行になるのか?
緊急走行時は、サイレンを鳴らし、赤色灯を点灯させる義務がある!
道路交通法施行令第14条1には、緊急自動車は、緊急走行時にはサイレンを鳴らし、赤色灯を点灯しなければならないと明記されています。
ただし、追跡時は例外が認められている!
ただ、パトカーや白バイは、スピード違反の車両を取り締まる際には、サイレンを鳴らさなくともよいとされています(道路交通法施行令第14条1のただし書き)
パトカーの緊急走行に速度制限はあるのか?
一般道で80km/h、高速道で100km/h
パトカーや白バイといえども、速度は無制限ではありません。現行の道路交通法では、一般道で80km/h、高速道で100km/hと定められています。
交通違反車両を追跡するときは速度無制限が許される!?
速度違反をしている車両を取り締まる際には、赤色灯を点灯させれば、速度制限は特に設けられていないんです。
パトカーにも反則キップが切られることがあるのか?
では、パトカーや白バイ等、緊急車両でも道路交通法違反で反則切符が切られることがあるのでしょうか?
取締りに妥当性が欠けると、パトカーも検挙される!
2014年6月に、京都府警のパトカーが、兵庫県内の中国自動車道で制限速度をはるかに超える、145km/hで走行し、オービスに撮影され、兵庫県警に検挙されました。
このときは、違反車両追跡ではなく、事件現場へ急行中でした。兵庫県警は、この速度超過に妥当性は無いと判断し、起訴しました。つまり、パトカーといえども、妥当性を欠くと速度違反で検挙されることがあるんですね。
では、同じ時間に同じ場所で緊急走行を行った場合、車種によって優先順位はあるのでしょうか?
ここでは、緊急走行中の緊急自動車の優先順位について考えます。
パトカーなど、緊急自動車同士の優先順位はケースバイケース!!
道路交通法上では、緊急自動車同士の優先取り決めは無い!
実は、道路交通法上で、緊急自動車同士の優先順位は定められていません。緊急走行とは、サイレンを鳴らし、赤色灯を点灯させているときのみ有効ですから、緊急走行していない緊急自動車は、一般車両と同じ扱いになります。
緊急走行中の車両同士の優先はケースバイケース!
ですから、パトカー、救急車、消防車などが同時に緊急走行中の場合、例えば信号のある交差点では「緑」側そ走行する緊急自動車が優先、信号が無い交差点では道幅や、左側から来る緊急自動車が優先と、道路交通法に準拠するようです。
消防車同士の場合などは、水を積んだ方が優先!
たとえば、消防車同士が同時に交差点へ侵入した場合は、火事の場合などは水を積んだ消防車が優先と判断されます。
警察・消防などの無線は別系統!
実は、警察と消防では、同じ無線チャンネルを使っていないため、お互いで連絡することができません。このときもケースバイケースで、火事場へ向かう消防車をパトカーより優先する場合があります。
緊急走行が許されている、緊急自動車としてパトカーを中心に取り上げましたが、実は、緊急自動車はパトカー以外にもたくさんあるんです。最後に、変わり種緊急自動車を特集します。
警視庁・ミニレスキュー車
クリッパーのミニレスキュー車です。これもサイレンと赤色灯を点灯すれば緊急走行ができます。パトカー以外にもこのような緊急車両があるのですね。
日本赤十字社の輸血運搬車
事故などで、血液が緊急に必要になったときに緊急走行できます。
国土交通省の水陸両用車
災害等の緊急時に出動するための水陸両用車です。確かに、赤色灯が装備されているので緊急走行できるようです。
陸上自衛隊用救急車
これは、救急車ですが、陸上自衛隊専用救急車です。これも緊急時には緊急走行できます。
NTTドコモの移動電源車
地震などの災害発生時、緊急で携帯電話用電源を供給するために緊急走行できる、NTTドコモの移動電源車です。
JRにも緊急自動車がある!
めったに見ませんが、JRにも架線等の復旧など、緊急自動車があります。緊急走行時は、ほかの車両と同じく、サイレンを鳴らし、赤色灯を点灯させています。
いかがでしたか?
緊急自動車というと、パトカーや覆面パトカー、救急車、消防車が真っ先に思い出されますが、意外にも多くの種類があることがご理解いただけたと思います。緊急自動車が緊急走行しているときは、誰かが助けを必要としています。道を譲り、現場へ急行できるよう協力しましょう。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。